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相続

簡単な内容の自筆証書遺言の作成方法

自筆証書遺言

はじめに作成上の注意点を説明します。

自筆証書遺言は遺言者が全文自書します。パソコンや代筆での作成は無効です。

また、書き損じたなどの理由で訂正が必要になった場合、文を訂正するのではなく、全文を書き直します。

なぜなら、自筆証書遺言の訂正方法は法律で決まっており、訂正方法を間違えると遺言自体が無効となることがあるからです。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

便せん

次に自筆証書遺言作成に必要なものを説明します。

自筆証書遺言を書くためにはA4サイズの用紙とボールペンが必要です。用紙のサイズはA4でなくてもかまいませんが、A4サイズで作成しておくと、遺言作成後に法務局で自筆証書遺言保管申請することができます。

また、同様の理由で遺言を書く際には、用紙の余白部分として上下左右それぞれ端から2センチ以上空けておきます。

なお、ここでは簡単な内容の自筆証書遺言の作成方法を説明しますので、A4用紙の片面紙一枚で収まることを前提に説明します。

では自筆証書遺言の記入方法を具体的に説明します。

表題

用紙の表題に「遺言書」と記入します。遺言書は縦書き横書きいずれでも構いません。

本文

表題を書きましたら、遺産の分け方を記入します。ここでは遺産の分け方毎に記入例を紹介します。

財産全て

財産の全てを特定の相続人に相続させたい場合には次のように記入します。

  • 遺言者は、遺言者が有する全ての財産を、長男○○(年月日生)に相続させる。

〇〇には氏名を記入します。また、氏名の横にカッコ書きで生年月日を記入します。

これに対し、推定相続人以外の者に財産を取得させる場合には次のように記入します。

  • 遺言者は、遺言者が有する全ての財産を、次の者に包括して遺贈する。
    本籍
    住所
    氏名
    生年月日

ここには財産を取得させる者の本籍・住所・氏名・生年月日を記入します。

不動産全て

また、不動産とその他の財産を保有する場合には次のように記入することで簡単な内容にできます。

  • 遺言者は、遺言者が有する全ての不動産を、長男○○(年月日生)に相続させる。
  • 遺言者は、前条記載の不動産を除き、遺言者が有する預貯金債権などその余の全ての財産を、長女△△(年月日生)に相続させる。

〇〇、△△には氏名を記入します。また、氏名の横にカッコ書きで生年月日を記入します。

なお、遺言で不動産を記入する場合には通常不動産の登記事項証明書を取得し、その記載の通りに不動産の所在や地番などを記入しなければなりません。

しかし、「不動産全てを」と記入することで不動産の所在や地番などを記入しなくて済み、自書負担が軽減されます。

以上が遺産の分け方の記入例です。

遺言執行者

遺産の分け方を記入しましたら、遺言執行者を指定します。遺言執行者とは遺言者の死後に遺言内容を実現するための手続きをする者です。

遺言執行者の指定は必須ではありませんが、財産を取得させる者を遺言執行者に指定しておくとよいです。この場合は次のように記入します。

  • 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、前記○○を指定する。遺言執行者は、遺言執行に必要な一切の権限を有する。

○○には財産を取得させる者の氏名を記入します。

日付

本文を書きましたら、自筆証書遺言の作成日を記入します。

「令和5年6月21日」

氏名

日付を書きましたら、日付の横に遺言者の住所・氏名を記入します。厳密にいいますと住所の記載は不要ですが、あえて住所を省略する理由はありませんので、遺言を作成した時点の住所・氏名を記入します。また、遺言作成後に住所・氏名を変更しても遺言を訂正する必要はありません。

「令和5年6月21日 島根県松江市西川津町654番地8 山田太郎」

住所・氏名を書きましたら、氏名の横に押印します。この印は実印でなくても構いません。もっとも、実印を押印し、自筆証書遺言に印鑑登録証明書を添えておくと遺言者の死後のトラブルで遺言の効力が否定されにくくなります。

「令和5年7月2日 島根県松江市西川津町654番地8 山田太郎 ㊞」

以上で自筆証書遺言は完成です。作成した遺言書はファイルや封筒などに入れて汚損しないようにします。

作成例

遺言書

第一条 遺言者は、遺言者が有する全ての不動産を、長男○○(年月日生)に相続させる。

第二条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、前記○○を指定する。遺言執行者は、遺言執行に必要な一切の権限を有する。

令和5年6月21日 

島根県松江市西川津町654番地8 山田太郎 ㊞

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