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相続

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書の概要

遺産分割協議書とは遺産分割協議の内容を書面に書き記したものです。そして、遺産分割協議とは遺産を相続人間でどのようにして分配するかを決める話し合いです。遺産分割協議は相続人全員の合意の下で成立しますので、遺産分割協議書は相続人全員が署名押印しなければ相続手続きで使用できません。

また、遺産分割協議書は次の3つの要素から構成されます。

  • 被相続人の表示
  • 遺産分割協議の内容
  • 相続人の署名押印

被相続人の表示

遺産分割協議書作成においては、まず遺産分割協議が誰の相続に関するものであるかを特定する必要があります。そのため、遺産分割協議書の冒頭には被相続人を特定する情報を記入します。被相続人を特定する情報とは具体的には次のものです。

  • 被相続人の氏名
  • 被相続人の生年月日
  • 被相続人の死亡日
  • 被相続人の最後の本籍
  • 被相続人の最後の住所

もっとも、これらの情報のすべてを記入しなければならないわけではありません。被相続人が特定できる程度の情報が記入されていれば足ります。

また、各種相続手続きにおいては被相続人の戸籍謄本や住民票を取得しますが、これらの情報は戸籍謄本や住民票に記載されてある情報です。そこで、遺産分割協議書の作成に取り掛かる前に、予め被相続人の戸籍謄本や住民票を取得すると、これらの情報を漏れなく記入した遺産分割協議書を作成できます。よって、被相続人の戸籍謄本や住民票は遺産分割協議書の作成に取り掛かる前に準備すべきです。

遺産分割協議の内容

被相続人の表示の記入が終わりましたら、次に遺産分割協議の内容を記入します。遺産分割協議の内容とは遺産を誰がどのように取得するかというものです。

遺産分割協議の内容につき、まず次の文言を記入します。

「上記被相続人の相続につき、相続人間で次の協議をした。」

次に、誰が何を取得するかを記入します。例えば次のような文言です。

  • 相続人○○は被相続人の不動産をすべて取得する。
  • 次の不動産を相続人○○が4分の3、△△が4分の1の割合で取得する。
    【不動産の表示】
  • 相続人○○及び△△は次の不動産を各々2分の1の割合で取得する。
    【不動産の表示】

なお、不動産の表示には、土地であれば所在・地番・地目・地積を、建物であれば所在・家屋番号・種類・構造・床面積を記入します。これらは不動産の登記事項証明書記載のとおりに記入します。

また、いわゆる分譲マンションなどの区分建物の不動産の表示はこれらと異なります。区分建物の記入方法の説明はここでは割愛しますが、ネットで「法務省 区分建物登記申請書」と検索すれば出てきます。

相続人の署名押印

遺産分割協議の内容の記入が終わりましたら、最後に「上記合意が成立した。」という文言と、日付を記入します。この日付は遺産分割協議が成立した日付、すなわち、相続人全員の合意が得られた日付です。

そして、この日付の下に各相続人が住所氏名を記入し、実印を押印します。実印とは印鑑登録証明書のハンコ、すなわち、市区町村に登録しているハンコです。

また、相続人の住所氏名の記入につき、相続人の自筆に代えてパソコン等で予め相続人の住所氏名を印字しても構いません。もっとも、後々の紛争予防のため自筆が可能な相続人には自筆をしていただいた方がよいです。

さらに、相続人の実印につき、遺産分割協議書に実印ではなく認印を押印したり、押印がなかったりしても遺産分割協議自体は無効とはなりません。しかし、遺産分割協議書を利用して各種相続手続きをする場合は原則実印の押印と印鑑登録証明書の添付が必要です。各種相続手続きに使用できない遺産分割協議書を作成しても意味がありませんので、遺産分割協議書には実印を押印し、その印鑑登録証明書を添付します。

なお、外国に居住する相続人は印鑑登録証明書を取得できないことがあります。この場合には実印の押印及び印鑑登録証明書の添付に代えて、署名証明を添付します。

遺産分割協議書の作成例

以上の説明を前提とした遺産分割協議書の作成例はこのようになります。

遺産分割協議書

【被相続人の表示】
氏名 ▲▲
生年月日 昭和 年 月 日
死亡日  令和 年 月 日
最後の本籍 △△
最後の住所 ▢▢

上記被相続人の相続につき、相続人間で次の協議をした。

第1条 相続人○○は被相続人の不動産をすべて取得する。

上記合意が成立した。

令和 年 月 日

住所            

氏名           

住所            

氏名           

住所            

氏名           

 

このように遺産分割協議書作成すれば各種相続手続きにおいて遺産分割協議書を問題なく使用できます。しかし、登記実務上は遺産分割協議書ではなく、遺産分割協議証明書を作成することが一般的です。

遺産分割協議証明書

遺産分割協議証明書とは遺産分割協議の内容を各相続人が証明する書面です。遺産分割協議証明書と遺産分割協議書の内容はほぼ同じです。これらが異なるのはその末尾の表記です。すなわち、遺産分割協議証明書の末尾の表記は、遺産分割協議書記載の「上記合意が成立した。」という文言に代えて、「上記合意が成立したことを証明する。」という文言になります。

ところで、遺産分割協議書とは一般に一枚の紙に相続人全員が署名押印するものを指します。しかし、この形態を採りますと、各相続人には遺産分割協議書に順次署名押印をしてもらう必要があり、作成に手間と時間を要します。そこで、登記実務ではこのような形態を採らずに、遺産分割協議証明書を使用します。

遺産分割協議証明書は相続人が各一枚に署名押印する形態を採ります。

また、遺産分割協議証明書の日付は遺産分割協議が成立した日付である必要はありません。遺産分割協議が成立した日以降で、相続人が遺産分割協議証明書に署名押印した日付を記入します。

遺産分割協議証明書の作成例

遺産分割協議証明書の記入例はこのようになります。この書面を相続人分用意し、各相続人が一人一枚署名押印します。また、実印の押印と印鑑登録証明書の添付が必要です。

遺産分割協議証明書

【被相続人の表示】
氏名 ▲▲
生年月日 昭和 年 月 日
死亡日  令和 年 月 日
最後の本籍 △△
最後の住所 ▢▢

上記被相続人の相続につき、相続人間で次の協議をした。

第1条 相続人○○は被相続人の不動産をすべて取得する。

上記合意が成立したことを証明する。

令和 年 月 日

住所            

氏名           

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