遺産分割協議
遺産分割協議は相続人全員の合意の下で成立します。よって、疎遠の相続人を欠いて遺産分割協議を行っても遺産分割協議書を用いた相続手続きはできません。
例えば被相続人名義の不動産があり、特定の相続人への相続登記を希望する場合には必ず疎遠の相続人の同意も必要です。
対応
この場合には疎遠の相続人に連絡して相続手続きの協力を得なければなりません。疎遠の相続人の住所が不明な場合には疎遠の相続人の戸籍の附票を取得すれば住所を調べることができます。
調停
疎遠の相続人が協力してくれない場合には相続人全員を相手に遺産分割調停を申立てなければなりません。遺産分割調停とは家庭裁判所で調停委員の関与の下、遺産分割協議をする手続きです。遺産分割調停を専門家に依頼すれば多額の費用が発生しますので、できるだけ避けるべきです。
疎遠の相続人への依頼の流れ
次に疎遠の相続人への協力依頼の流れを説明します。
step
1法定相続情報一覧図の作成
step
2手紙送付
step
3反応
協力が得られない場合には遺産分割調停を申し立てます。
step
4相続登記
以上が疎遠の相続人への協力依頼の流れです。
不在者財産管理人
最後に疎遠の相続人が行方不明の場合の対応を説明します。
疎遠の相続人の戸籍の附票を取得しても住所が不明な場合や、戸籍の附票上の住所に居住していない場合には家庭裁判所で不在者財産管理人の選任申立てをします。
不在者財産管理人とは行方不明者の代わりに行方不明者の財産を管理する者です。この場合には不在者財産管理人は疎遠の相続人の法定相続分という財産を管理します。
また、不在者財産管理人の業務は専門知識が必要ですので、不在者財産管理人には通常弁護士や司法書士が選任されます。
不在者財産管理人が遺産分割協議をして相続登記をする流れは次のとおりです。
手順1
疎遠の相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立てます。
手順2
不在者財産管理人が選任されると、不在者財産管理人とその他の相続人で遺産分割協議の案を決めます。
手順3
遺産分割協議の案が決まりましたら、不在者財産管理人が家庭裁判所で遺産分割の許可を得ます。
手順4
家庭裁判所の許可後、不在者財産管理人とその他の相続人で正式に遺産分割協議をします。
手順5
遺産分割協議後、遺産分割の対象である不動産の相続登記をします。
手順6
不在者財産管理人が家庭裁判所に報告し、選任取消しの申立てをします。
以上が不在者財産管理人が遺産分割協議をして相続登記をする流れです。