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相続

戸籍謄本等の本人等請求と第三者請求

前置き

戸籍は本籍地の市町村が作成します。

そして、個人は本籍地の市町村に戸籍を請求することができます。

ここでは「戸籍を請求することができる者」と、その者が「請求できる戸籍の範囲」を説明します。

個人の戸籍請求は戸籍法10条1項に基づく請求と、同法10条の2第1項に基づく請求に大別できます。

ここでは前者を「本人等請求」、後者を「第三者請求」とよびます。

本人等請求

まず本人等請求について説明します。

戸籍法10条1項は、次の1から4の者が、次のaからCの戸籍を請求する場合を規定しています。

  1. 戸籍に記載されている者
  2. 戸籍に記載されている者の配偶者
  3. 戸籍に記載されている者の直系尊属
  4. 戸籍に記載されている者の直系卑属
  1. 戸籍に記載されている者の戸籍謄本
  2. 戸籍に記載されている者の戸籍抄本
  3. 戸籍に記載されている者の戸籍に記載した事項に関する証明書

つまり、本人等請求とは、自分、自分の配偶者、自分の直系卑属、及び自分の直系尊属の戸籍の請求です。

自分の直系卑属とは、例えば自分の子や自分の孫です。

自分の直系尊属とは、例えば自分の父母や自分の祖父母です。

なお、ここではこの1から4の者を「本人等」、このaからcの戸籍を「戸籍謄本等」と呼びます。

傍系血族

既述のとおり、本人等請求の「本人等」には戸籍に記載されている者の傍系血族は含まれません。

すなわち、本人等請求により自分の傍系血族の戸籍謄本等を請求することはできません。

自分の傍系血族とは、例えば自分のおじ・おば、自分の兄弟姉妹、自分の甥姪です。

仮に、相続登記をするために、自分と同一の戸籍に在籍しない、自分の兄弟姉妹の戸籍謄本が必要な場合、「自分」は本人等請求によって、「自分の兄弟姉妹」の戸籍謄本を請求することはできません。

この場合は後述の第三者請求をします。

必要とする理由

本人等請求をする場合、市町村に対して戸籍謄本等を必要とする理由を明らかにする必要はありません。

もっとも、本人等請求が不当な目的によることが明らかなときは市町村は本人等請求を拒むことができます。

以上が本人等請求の説明です。

第三者請求

次に第三者請求について説明します。

戸籍法10条の2第1項は、「本人等」以外の者が、「戸籍謄本等」を請求する場合を規定しています。

粗い言い方をしますと、第三者請求とは他人の戸籍謄本等の請求です。

無論、他人の戸籍謄本等を無制限に取得することはできません。

要件

第三者請求は次の場合に限り認められます。

  1. 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合
  2. 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合
  3. 前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合

必要とする理由

第三者請求をする場合、既述の要件1から3にそれぞれ対応した、戸籍謄本等を必要とする理由を市町村に明らかにしなければなりません。

  1. 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
  2. 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由
  3. 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由

以上が第三者請求の説明です。

 

 

 

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