改葬許可の概要
改葬許可とは改葬を行う場合に必要な許可です。
「改葬」とは例えば、墓地に埋蔵された焼骨全部を永代供養墓に移すことです。(「改葬」の定義については後で説明します。)
これに対し、墓地に埋蔵された焼骨の一部を永代供養墓に移す場合、いわゆる「分骨」をする場合、改葬許可は不要ですが、別の手続きが必要です。
申請者
改葬許可申請は「改葬を行おうとする者」が申請しなければなりません。
墓地に埋蔵された焼骨全部を永代供養墓に移す場合、「改葬を行おうとする者」とは原則焼骨が埋蔵されている墓地の使用者です。
「改葬を行おうとする者」以外の者が改葬許可申請をする場合は「改葬を行おうとする者」の委任状などが必要です。
申請先
改葬許可申請の申請先は死体又は焼骨が現に存する地の市町村長です。
墓地に埋蔵された焼骨全部を永代供養墓に移す場合、改葬許可申請の申請先は墓地所在地の市町村長です。
改葬許可に関連する用語
次に改葬許可に関連する用語を説明します。
埋葬
「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む)を土中に葬ることです。
火葬
「火葬」とは、死体を葬るために、死体を焼くことです。
墳墓
「墳墓」とは、次の施設です。
- 死体を埋葬する施設
- 焼骨を埋蔵する施設
埋蔵
「埋蔵」とは、焼骨を埋(うず)めてしまっておくことです。
なお、改葬許可においては「埋葬」と「埋蔵」は区別されます。
粗い言い方をしますと、「埋葬」とは土葬を、「埋蔵」とは火葬を意味します。
収蔵
「収蔵」とは、焼骨を取り入れてしまっておくことです。
粗い言い方をしますと、焼骨を墓地に納めることを「埋蔵」と、焼骨を納骨堂に納めることを「収蔵」といいます。
墓地
「墓地」とは、墳墓を設けるための区域です。
納骨堂
「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵する施設です。
改葬
「改葬」とは、次のいずれかの行為です。
- 墳墓に埋葬した死体を他の墳墓に移すこと
- 墳墓に埋蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと
- 納骨堂に収蔵した焼骨を、墳墓又は他の納骨堂に移すこと
なお、墓地に埋蔵された焼骨全部を永代供養墓に移すことは上記2番に該当します。
改葬許可申請の流れ
次に墓地に埋蔵された焼骨全部を永代供養墓に移す場合の改葬許可申請の流れを説明します。
step.1
焼骨が埋蔵されてある墓地の管理者から「埋蔵証明書」を発行してもらいます。
step.2
焼骨の受入先である永代供養墓の管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。
step.3
管轄市町村に改葬許可申請書と添付書類を提出します。
step.4
改葬許可が下りましたら、管轄市町村で改葬許可証を受け取ります。
以上が流れです。
改葬許可申請の必要書類
最後に墓地に埋蔵された焼骨全部を永代供養墓に移す場合に、焼骨が埋蔵されてある墓地の使用者本人が改葬許可申請をするときの必要書類を説明します。
改葬許可申請書
申請書のひな形はネットで「○○市 改葬許可申請書」で検索するとダウンロードできます。
なお、「○○市」には改葬許可申請先の市町村が入ります。
埋蔵証明書
「埋蔵証明書」とは、焼骨が埋蔵されてある墓地の管理者が、「焼骨が埋蔵されてある」ことを証明する書類です。
なお、改葬許可申請書と埋蔵証明書を兼ねた様式を使用している市町村があります。
受入証明書
「受入証明書」とは、焼骨の受入先である永代供養墓の管理者が、「焼骨を受け入れる」こと証明する書類です。
例えば、墓地使用許可証や契約書です。
申請者の本人確認書類
申請者の本人確認書類とは例えば次のものです。
- 運転免許証(の表裏両面)
- マイナンバーカード(の表面)
なお、郵送申請する場合にはこれらのコピーを提出します。
以上が必要書類です。
墓地、埋葬等に関する法律施行規則
第二条 法第五条第一項の規定により、市町村長の改葬の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を、同条第二項に規定する市町村長に提出しなければならない。
一死亡者の本籍、住所、氏名及び性別(死産の場合は、父母の本籍、住所及び氏名)
二死亡年月日(死産の場合は、分べん年月日)
三埋葬又は火葬の場所
四埋葬又は火葬の年月日
五改葬の理由
六改葬の場所
七申請者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者又は焼骨収蔵委託者(以下「墓地使用者等」という。)との関係
2前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一墓地又は納骨堂(以下「墓地等」という。)の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面(これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面)
二墓地使用者等以外の者にあつては、墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本
三その他市町村長が特に必要と認める書類