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注文・建売住宅の所有権保存登記申請(法74条1項1号前段申請)の方法

所有権保存登記の用語

始めに注文・建売住宅の所有権保存登記に関する用語を説明します。

建物表題登記

建物表題登記とは建物建築後に建物の所在や面積を登記記録に起こす登記です。建物表題登記は土地家屋調査士が測量して登記を申請します。

所有権保存登記

所有権保存登記とは建物表題登記後に行う登記で、権利関係を公示する登記です。住宅ローンを利用する場合には必須の登記です。

住宅用家屋証明書

住宅用家屋証明書とは所有権保存登記の登録免許税の減税を受けるための証明書です。所有権保存登記の前に建物所在地の市町村で取得します。

(所有権の保存の登記)
第七十四条 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
一 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
二 所有権を有することが確定判決によって確認された者
三 収用(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者
2 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。

所有権保存登記の流れ

次に注文・建売住宅の所有権保存登記の流れを説明します。


  • 手順1

    所有権保存登記の対象不動産を把握するために、土地家屋調査士から受け取った建物表題登記の完了証を確認します。


  • 手順2

    所有権保存登記の対象不動産を確定するために、手順1で確認した不動産の、登記事項証明書を法務局で取得します。


  • 手順3

    不動産登記事項証明書の表題部を確認し、所有者の住所・氏名を確認します。


  • 手順4

    建物所在地の市町村で住宅用家屋証明書を取得します。


  • 手順5

    法務局に提出する所有権保存登記の申請書を作成します。申請書のひな形はネットで「所有権保存登記申請書 法務局」で検索すると、法務局のページからダウンロードできます。


  • 手順6

    申請書、収入印紙及び添付書類を管轄法務局に提出します。管轄法務局が遠方であれば郵送でも構いません。(法務局に書類を提出する前に、法務局の無料相談で書類に不備がないか確認してもらうと申請手続きがスムーズに進みます。)


  • 手順7

    登記完了後、法務局で登記識別情報を受け取ります。登記識別情報は郵送で受け取ることもできます。


以上が所有権保存登記の流れです。

所有権保存登記の必要書類

次に注文・建売住宅の所有権保存登記の必要書類を説明します。

住民票の写し

登記申請者である建物所有者の住民票の写しが必要です。住民票の写しは登記申請書の添付情報欄の「住所証明情報」にあたります。

住宅用家屋証明書

登録免許税の減税を受けるために住宅用家屋証明書を添付します。住宅用家屋証明書は登記申請書の添付情報欄の「減税証明書」にあたります。

変更証明書

不動産の登記事項証明書の表題部記載の住所と、登記申請者である建物所有者の現住所が異なる場合には変更証明書を添付します。具体的には住所の変遷を証明する住民票の写しか、戸籍の附票です。変更証明書を添付する場合は登記申請書の添付情報欄に「変更証明情報」と記入します。

但し、先ほど説明した通り、登記申請書には住所証明情報として住民票の写しを添付しますので、この住民票の写しで住所の変遷を証明できる場合は住所証明情報の住民票の写しと、変更証明情報の住民票の写しは同じものです。

不動産の登記事項証明書

不動産の登記事項証明書とは、不動産の登録内容を証明する書類です。不動産の登記事項証明書は法務局が発行するもので、登記事項証明書が取得できる法務局であれば、不動産の所在地を問わず、全国どこの法務局でも取得できます。そして、不動産の登記事項証明書を確認することで、所有権保存登記の対象である不動産を特定できます。

また、法務局で登記事項証明書を取得する代わりにインターネットで登記情報を取得することもできます。登記情報とは登記事項証明書の内容をインターネット上で確認するものです。もっとも、登記情報の取得には登録手続きが必要ですので、所有権保存登記のためだけに登記情報を取得することはかえって手続きを煩雑にする可能性があります。

なお、不動産の登記事項証明書及び登記情報は登記申請書の添付書類ではありませんので法務局に提出はしませんが、登記申請書の作成に必要な書類です。

以上が所有権保存登記の必要書類です。

所有権保存登記申請書の書き方

最後に所有権保存登記申請書の書き方を説明します。ここでは住宅用家屋証明書を添付した登記申請書の書き方を説明します。

申請書はA4サイズで作成します。また、収入印紙を貼り付けるためのA4の白紙1枚も準備します。申請書に記入する事項は次の通りです。

登記の目的

登記の目的には「所有権保存」と記入します。

登記の目的 所有権保存

所有者

所有者欄には建物所有者の住所・氏名・連絡先を記入し、認印を押印します。建物の登記事項証明書の表題部の住所と、現住所が異なる場合には現住所を記入します。

所有者 島根県松江市殿町一丁目1番1号 
田中太郎 ㊞ 
電話番号 090-0000-0000

添付情報

添付情報には「住所証明情報」及び「減税証明書」と記入します。

添付情報 住所証明情報 減税証明書

申請日・管轄の法務局

申請日には登記申請書を法務局に提出する日を記入します。郵送の場合は発送日で構いません。

また、申請日の横に「法第74条第1項第1号申請」と記入します。

令和年月日申請 法第74条第1項第1号申請

また、申請日の下に、登記を申請する管轄の法務局名を記入します。管轄の法務局とは不動産の所在地を管轄する法務局です。管轄の法務局はネットで「〇〇市 不動産登記」と検索すれば出てきます。

松江地方法務局 御中

課税価格

課税価格にはその金額を「金○○円」と記入します。課税価格は登録免許税の算定の基礎となるものです。課税価格は、一般に申請する不動産の固定資産税評価額の合計額の下三桁を切り捨てた額です。しかし、新築建物の場合は固定資産税の評価額がまだ出ていません。そこで、登記申請用に課税価格を計算しなければなりません。

具体的には、まず、建物所在地を管轄する法務局の新築建物課税標準価格認定基準表から建物の基準額を定めます。この基準表はネットで「新築 法務局 ○○市」と検索すれば出てきます。そして、登記事項証明書の建物の構造と種類を確認し、この基準表と照らし合わせて単価を確認します。さらに、その単価に登記事項証明書の建物の床面積の合計を乗じます。

例えば、松江市内の新築建物の種類が居宅、構造が木造の場合、基準額は91,000円です。また、建物の床面積の合計が105.02平方メートルの場合、価格は91,000円×105.02㎡=9,556,820円です。そして、この額の下三桁を切り捨てます。すると課税価格である9,556,000円が算定されます。これが課税価格の算定方法です。

課税価格 金9,556,000円

登録免許税

登録免許税にはその金額を金〇〇円と記入します。登録免許税の額は、課税価格に税率を乗じた額の下二桁を切り捨てた額です。そして、この税率は住宅用家屋証明書記載の住宅の種類によって異なります。すなわち、特定認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の場合、0.1%、これ以外の住宅の場合は0.15%です。

例えば、長期優良住宅及び低炭素住宅いずれにも該当しない建物の課税価格が9,556,000円の場合、9,556,000円の0.15%にあたる額は14,334円です。そして、この額の下二桁を切り捨てます。すると登録免許税の額である14,300円が算定されます。これが登録免許税の算定方法です。また、この減税措置の根拠条文として、租税特別措置法72条の2と記入します。

登録免許税は収入印紙で納付しますので、登録免許税の金額分の収入印紙を購入し、A4サイズの白紙に貼り付けます。

登録免許税

金14,300円(租税特別措置法72条の2)

不動産の表示

不動産の表示には、建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積を記入します。これらは不動産の登記事項証明書のとおりに記入します。

所在
家屋番号
種類
構造
床面積
松江市殿町一丁目11番地
11番
居宅
木造かわらぶき2階建
1階 40・00平方メートル
2階 30・00平方メートル

その他

以上が登記の申請書の書き方ですが、これらの事項以外に申請書に記入すべきことがある場合、申請書に「その他」欄を追加し、この欄に記入します。例えば、登記識別情報の通知を希望しない場合には、「その他」欄に「登記識別情報の通知を希望しない。」と記入します。

所有権保存登記が完了すると登記申請者には原則登記識別情報が交付されます。しかし、登記申請者が登記識別情報の交付を希望しない場合、その旨を登記の申請時に申し出ると、登記識別情報の交付はなされません。なお、登記識別情報の交付につき特別の事情がなければ、登記識別情報の交付を希望すればよいです。

綴じ方

最後に申請書、収入印紙を貼った紙、添付書類の順番で重ねて、左端二か所をホッチキスでとめます。そして、申請書と収入印紙を貼った紙に契印(割印)をします。また、住宅用家屋証明書の原本の返還してもらために、このコピーを申請書と一緒に綴じ、原本は綴じません。

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