法定相続情報の意義
公的書類
法定相続情報とは被相続人の相続関係を公的に証明する書類です。具体的には被相続人とその相続人が家系図のような体裁で記載されています。また、法定相続情報は法務局が発行する公的書類ですので、市町村が発行する戸籍謄本と同様に様々な相続手続きで使用できます。
もっとも、法定相続情報は法務局が自ら作成するものではありません。被相続人の法定相続情報を取得するには、相続人が「家系図」を作成し、これを法務局に保管申請をする必要があります。ざっくり言いますと、相続人が作成した「家系図」を法務局が公的に認証するイメージです。
このように相続人が作成した「家系図」を法務局が保管し、証明する制度を、法定相続情報証明制度といいます。
戸籍謄本の代用
ところで、相続関係を証明する書類の代表は戸籍謄本です。そして、戸籍謄本は市町村が作成します。そのため、相続人はわざわざ法定相続情報を作成しなくても、戸籍謄本を取得すれば相続関係を証明することができます。しかし、被相続人の相続関係を証明する場合、通常、数通で1セットの戸籍謄本が、数セット必要になります。つまり、相続手続きの際にはこれらをすべてコピーする手間が発生します。
また、各種相続手続きの窓口において、戸籍謄本を提出すると相続関係の調査に時間を要します。
これに対し、法定相続情報は家系図の体裁をした書類で、通常A4サイズ1枚に収まります。さらに、相続関係が一目瞭然ですので、窓口の相続人調査の時間は戸籍謄本のそれより短くなります。よって、遺産に預金、株式、自動車などがあり、複数の相続手続きが必要な場合には作成しておくと便利です。
法定相続情報の作成方法
窓口
法定相続情報は次のいずれかを管轄する法務局で作成できます。
- 被相続人の本籍地
- 被相続人の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 被相続人名義の不動産の所在地
相続登記をする場合、4の法務局と相続登記の管轄法務局は同じですので、相続登記のついでに法定相続情報を作成すると手続きがスムーズです。
必要書類
法定相続情報作成のための必要書類は次のとおりです。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の死亡時の戸籍の附票の謄本
- 相続人全員の戸籍抄本
- 相続人全員の戸籍の附票の抄本
- 申出人の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
なお、上記必要書類は相続登記の必要書類とほぼ重複します。よって、相続登記に必要な書類を揃えると法定相続情報作成の必要書類もほぼ揃います。
流れ
戸籍収集
市町村役場で必要な戸籍謄本等を取得します。
家系図作成
法務省指定の書式を基に家系図を作成します。この家系図がそのまま証明内容となります。
申出書作成
法務省指定の書式を基に法定相続情報の申出書を作成します。
法務局に提出
法定相続情報の申出書、家系図及び必要書類を管轄法務局に提出します。
法務局の審査
法務局が審査します。不備があれば訂正します。
完了
手続きが完了すると、法務局から連絡がありますので、法務局に法定相続情報を受け取りに行きます。