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相続

昭和23年式戸籍の見方

概要

はじめに昭和23年式戸籍の概要を説明します。

昭和23年式戸籍

昭和23年式戸籍とは、昭和23年1月1日以降に作られた戸籍です。

編製

編製とは、戸籍を新たに作成することです。

例えば、日本人同士の男女が婚姻した場合、夫婦と、その夫婦と氏が同じ子を一つの単位として戸籍が編製されます。

夫婦となった男女はその片方の氏を名乗りますが、「名乗る氏」を元から有する方を「筆頭者」といいます。

また、その夫婦に子が生まれますと、その子はその夫婦の戸籍に入ります。

改製

改製とは、戸籍を既存の様式から新しい様式に作り直すことです。

改製は戸籍の根拠法令が改正された場合に生じます。

そして、改製前の戸籍、すなわち、改製によって作り直された前の戸籍を「改製原戸籍」といいます。

改製により、既存の様式の戸籍の情報は、新しい様式の戸籍に移記されます。

但し、改製により移記される情報は、従前の戸籍に在籍する人物の情報だけです。

すなわち、既存の様式の戸籍内で除かれている人物の情報は改製により移記されません。

戸籍の電算(コンピュータ)化

昭和23年式戸籍は、平成6年法務省令に基づき、管轄市町村ごとに随時改製されました。

この改製は、紙で管理していた戸籍を電子データで管理するために行われました。

この改製を「戸籍の電算(コンピュータ)化」といいます。

また、昭和23年式戸籍のうち、改製原戸籍は「平成改製原戸籍」とよばれることがあります。

戸籍と除籍

戸籍内の人物はその戸籍から除かれることがあります。

これを「除籍」といいます。

除籍されるきっかけは、例えば戸籍内の人物の死亡や、夫婦の子の婚姻です。

そして、戸籍謄本内の人物が全員除籍された場合、この戸籍謄本は除籍謄本となります。

なお、昭和23年式戸籍謄本につき、平成6年法務省令に基づく改製前に戸籍内の人物全員が除籍されていれば、その戸籍は除籍謄本です。

これに対し、昭和23年式戸籍謄本につき、平成6年法務省令に基づく改製前に戸籍内の人物全員が除籍されていなければ、その戸籍は改製原戸籍謄本です。

体裁

昭和23年式戸籍と、戸籍の電算(コンピュータ)化後の戸籍(戸籍全部事項証明書)は、戸籍の体裁は異なりますが、その見方は基本的に同じです。

以上が昭和23年式戸籍の概要です。

見方

次に昭和23年式戸籍の見方を説明します。ここでは昭和23年式戸籍を便宜的に「戸籍」とよびます。

大枠

まず戸籍の大枠を説明します。

この説明に使用する戸籍の見本は合計2枚です。

戸籍の1ページ目の下段には大きな枠が3つ、2ページ目には4つあります。

この枠には戸籍内の人物の名が入ります。

また、戸籍内の人物は皆、筆頭者の氏を称しますので、氏は1ページ目の右端の筆頭者の氏で確認します。

この戸籍では1ページ目の枠がすべて埋まり、2ページ目の枠が2つ埋まっているとします。

そのため、合計5人分の情報が記載されています。

また、戸籍の用紙が2枚以上の場合、右下に戸籍のページ番号が記載されます。

さらに、戸籍の2ページ目以降の、ページ番号の横の枠には筆頭者の氏名が入ります。

以上が大枠の説明です。

次に戸籍の各項目を説明します。

冒頭

戸籍が改製されていれば、冒頭に「改製原戸籍」と記載されます。

そして、その下には改製事由と改製日が記載されます。改製事由とは改製のきっかけです。

この戸籍は、平成6年法務省令基づいて改製がなされ、平成16年11月3日に閉鎖されたことがわかります。

本籍・氏名

ここには本籍と筆頭者の氏名が記載されます。

戸籍事項

本籍及び筆頭者の隣は戸籍事項欄です。

戸籍事項欄には在籍者全員に共通する事項が記載されます。

在籍者全員に共通する事項とは、例えば、編製や転籍の情報です。

この戸籍は昭和34年10月7日の婚姻により編製されたことがわかります。

よって、この日がこの戸籍の編製日です。

また、他の市町村へ転籍し、戸籍が閉鎖された場合は、ここに転籍日・転籍先が記載されます。

戸籍に記録されている者(筆頭者)

戸籍の筆頭には、筆頭者の情報が記載されます。

そして、戸籍の下段には対象者の名、父、母、続柄、出生日などが記載されます。

また、上段は身分事項欄で、対象者の出生、婚姻、死亡などの情報が記載されます。

この筆頭者の身分事項には出生及び婚姻の情報が記載されています。

ここで、戸籍事項の編製日及び戸籍の冒頭の改製日より、この戸籍は昭和34年10月7日婚姻から平成16年11月3日改製前までのものであることがわかります。

仮に、筆頭者の出生からの戸籍を収集しているならば、筆頭者の出生から婚姻前までの戸籍を追加で請求しなければなりません。

具体的には、筆頭者の婚姻の情報の、従前の本籍及び従前の戸籍の筆頭者を確認し、従前の本籍地の市町村に対象者の「出生から婚姻まで」の戸籍を請求します。

戸籍に記録されている者(配偶者)

筆頭者の情報の次に、筆頭者の配偶者の情報が記載されます。

この配偶者の身分事項には出生及び婚姻の情報が記載されています。

ここで、配偶者の身分事項の婚姻日と、戸籍事項の編製日を見比べますと、両者の日付が一致します。

よって、この戸籍は配偶者の昭和34年10月7日婚姻から平成16年11月3日改製前までのものであることがわかります。

仮に、配偶者の出生からの戸籍を収集しているならば、配偶者の出生から婚姻前までの戸籍を追加で請求しなければなりません。

具体的な取得方法は筆頭者の場合と同じです。

戸籍に記録されている者(長男)

筆頭者の情報及び筆頭者の配偶者の情報の次に、夫婦の子などの情報が記載されます。

夫婦の子が複数いる場合は、子は原則生まれた順番で記載されます。

長男の身分事項には出生の情報が記載されています。

ここで、長男の身分事項の出生日と、戸籍事項の編製日を見比べますと、編製日の方が前です。

よって、この戸籍は長男の出生から平成16年11月3日改製前までのものであることがわかります。

戸籍に記録されている者(長女)

長女の身分事項には出生及び婚姻の情報が記載されています。

すなわち、長女は婚姻により除籍され、長女夫婦のために新たな戸籍が編製されています。

そのため、長女の名の欄にはバツ印があります。

ここで、長女の身分事項の出生日と、戸籍事項の編製日を見比べますと、編製日の方が前です。

よって、この戸籍は長女の出生から婚姻までのものであることがわかります。

仮に、長女の婚姻により新たに編成された戸籍が必要な場合は、身分事項の婚姻の情報を確認します。

具体的には、長女の婚姻の情報の、婚姻後の本籍、配偶者の氏名及び夫婦いずれの氏を称しているかを確認し、その本籍地の市町村に戸籍を請求します。

また、既述のとおり、改製により移記される情報は、従前の戸籍に在籍する人物の情報だけです。

そのため、この戸籍内で除籍されている長女の情報は、平成16年11月3日改製後の戸籍に記載されません。

戸籍に記録されている者(二男)

二男の身分事項には出生の情報が記載されています。

二男の身分事項の出生日と、戸籍事項の編製日を見比べますと、編製日の方が前です。

よって、この戸籍は二男の出生から平成16年11月3日改製前までのものであることがわかります。

空欄

この戸籍には空欄が2つあります。

仮に夫婦に新たに子が誕生していればこの空欄に入ります。

また、仮に婚姻により除籍された長女が離婚し復氏した場合はこの空欄に入ります。

但し、この戸籍は平成16年11月3日改製により閉鎖されていますので、この改製日以降にこの空欄が埋まることはありません。

すなわち、改製日以降は改製後の戸籍に情報が入力されます。

末尾

戸籍の末尾には、証明文言、証明年月日、市町村長名及びその印が記載されます。

このうち、証明文言につき改製原戸籍謄本であれば「この謄本は、原戸籍の原本と相違ないことを認証する。」と記載されます。

これに対し、除籍謄本であれば「この謄本は、除籍の原本と相違ないことを認証する。」と記載されます。

以上が戸籍の見方です。

 

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