前置き
作成者
戸籍の附票は本籍地の市町村が戸籍を単位として作成します。
そして、個人は本籍地の市町村に戸籍の附票の写しを請求することができます。
ここでは「戸籍の附票を請求することができる者」と、その者が「請求することができる戸籍の附票の写しの範囲」を説明します。
個人の戸籍の附票の写しの請求は住民基本台帳法20条1項に基づく請求と、同条3項に基づく請求に大別できます。
ここでは前者を「本人等請求」、後者を「第三者請求」と呼びます。
記載事項
市町村が管理する戸籍の附票には次の情報などが記載されます。
- 戸籍の表示
- 氏名
- 住所(国外に転出をする旨の第二十四条の規定による届出(次号及び第七号において「国外転出届」という。)をしたことによりいずれの市町村においても住民基本台帳に記録されていない者(以下「国外転出者」という。)にあつては、国外転出者である旨)
- 住所を定めた年月日(国外転出者にあつては、その国外転出届に記載された転出の予定年月日)
- 出生の年月日
- 男女の別
- 住民票に記載された住民票コード(国外転出者にあつては、その国外転出届をしたことにより消除された住民票に記載されていた住民票コード。第三十条の三十七及び第三十条の三十八において同じ。)
なお、市町村が発行する戸籍の附票の写しにこれらの全部が記載されるわけではありません。
本人等請求
まず本人等請求について説明します。
住民基本台帳法20条1項は、次の1から4の者が、次のaの戸籍の附票の写しを請求する場合を規定しています。
- 戸籍の附票に記録されている者
- 戸籍の附票に記録されている者の配偶者
- 戸籍の附票に記録されている者の直系尊属
- 戸籍の附票に記録されている者の直系卑属
- 戸籍の附票に記録されている者の戸籍の附票の写し
つまり、本人等請求とは、自分、自分の配偶者、自分の直系卑属、及び自分の直系尊属の戸籍の附票の写しの請求です。
自分の直系卑属とは、例えば自分の子や自分の孫です。
自分の直系尊属とは、例えば自分の父母や自分の祖父母です。
なお、ここではこの1から4の者を「本人等」と呼びます。
傍系血族
既述のとおり、本人等請求の「本人等」には戸籍の附票に記録されている者の傍系血族は含まれません。
すなわち、本人等請求により自分の傍系血族の戸籍の附票の写しを請求することはできません。
自分の傍系血族とは、例えば自分のおじ・おば、自分の兄弟姉妹、自分の甥姪です。
仮に、相続登記をするために、自分と同一の戸籍に在籍しない、自分の兄弟姉妹の戸籍の附票の写しが必要な場合、「自分」は本人等請求によって、「自分の兄弟姉妹」の戸籍の附票の写しを請求することはできません。
この場合は後述の第三者請求をします。
利用の目的
本人等請求をする場合、申出をする者は市町村に対して戸籍の附票の写しの利用の目的を明らかにする必要はありません。
もっとも、本人等請求が不当な目的によることが明らかなときは市町村は本人等請求を拒むことができます。
以上が本人等請求の説明です。
第三者請求
次に第三者請求について説明します。
住民基本台帳法20条3項は、「本人等」以外の者が、戸籍の附票の写しを請求する場合を規定しています。
粗い言い方をしますと、第三者請求とは他人の戸籍の附票の写しの請求です。
無論、他人の戸籍の附票の写しを無制限に取得することはできません。
申出をする者
第三者請求においては、次の者が申出をすることができます。
- 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の附票の記載事項を確認する必要がある者
- 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある者
- 前二号に掲げる者のほか、戸籍の附票の記載事項を利用する正当な理由がある者
利用の目的
第三者請求においては、申出の際に市町村に対して戸籍の附票の写しの利用の目的を明らかにします。
その上で、市町村が申出を相当と認めるときでなければ戸籍の附票の写しは発行されません。
記載事項
第三者請求では次のものを請求することができます。
- 戸籍の附票の写しで、既述の戸籍の附票の記載事項の内、戸籍の表示及び住民票コードを除いたもの
また、第三者請求では既述の利用の目的を達成するために次のものが必要であれば、市町村にその旨を申し出ます。
- 戸籍の附票の写しで戸籍の表示があるもの
- 戸籍の附票の写しで住民基本台帳法17条の2第1項の規定により記載された事項の全部又は一部の表示があるもの
そして、市町村は、かかる申出を相当と認めるときはこれらを発行します。
以上が第三者請求の説明です。