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相続

再転相続

再転相続

再転相続とは、相続(一次相続)発生後、その相続人が相続(一次相続)の承認・放棄をしないままで熟慮期間内に死亡し、さらに相続(二次相続)が発生し、二次相続の相続人が、一次相続の承認・放棄をする地位を承継することです。

例えば、Aが死亡し、Aの子BがAの相続人となったが、Bが相続の承認・放棄をしないままAの死亡後2ヶ月後に死亡し、Bの子CがBの相続人となった場合です。この場合、Cは、Aの相続に関して相続の承認・放棄する地位をBから承継しています。

AからBへの相続(一次相続)と、BからCへの相続(二次相続)は別物ですので、Cは両者の相続について相続の承認・放棄を選択できます。但し、Cが、先にBからCへの相続(二次相続)について相続放棄をした場合は、Cは、後でAからBへの相続(一次相続)につき、相続の承認・放棄をすることはできません。

なぜなら、Cが、先にBからCへの相続(二次相続)につき相続放棄をしますと、Cは初めからBの相続人でなかったものとみなされ(民法939条)、Cは、AからBへの相続(一次相続)につき相続の承認・放棄をする権利を失うからです。

(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

論点

以上が再転相続の説明ですが、再転相続に関しては主に2つの論点があります。

一つ目に、Cが先にAからBへの相続(一次相続)につき相続放棄をし、後でBからCへの相続(二次相続)につき相続放棄をした場合に、AからBへの相続(一次相続)にかかる相続放棄の効果は有効か否かという論点です。

二つ目に、再転相続における熟慮期間の起算点はいつかという論点です。

一次相続の効力

一つ目の論点につき最高裁は、後でなされたBからCへの相続(二次相続)の相続放棄によって、先になされたAからBへの相続(一次相続)の相続放棄は無効にならないとしています(大決大15・8・3民集5・679)。

熟慮期間

次に二つ目の論点です。

そもそも、再転相続でない相続において、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に相続の承認・放棄をしなければなりません。

そして、最高裁はこの「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、原則「相続人が、相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時」であるとしています(最判昭63・6・21)。

また、この三箇月を「熟慮期間」といいます。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

再転相続の熟慮期間

これに対して再転相続の場合の熟慮期間は、再転相続人が「自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算されます(民法916条)。

例えば、甲が死亡し、甲の弟乙が甲の相続人となったが、乙が相続の承認・放棄をしないまま熟慮期間内に死亡し、乙の子丙が乙の相続人となった場合です。この場合、丙は、甲の相続に関して相続の承認・放棄する地位を乙から承継しています。

また、ここでの丙を再転相続人といいます。

この事例では、甲から乙への相続(一次相続)にかかる、丙の熟慮期間は、丙が「自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算されます。

そして、最高裁はこの「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、「相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時」であるとしています(令和元年 8 月 9 日最高裁第二小法廷判決)。

つまり、甲から乙への相続(一次相続)にかかる、丙の熟慮期間は次の時から起算されます。

  • 丙が、乙から丙への相続(二次相続)によって、「甲の相続人としての地位を承継した事実」を知った時

よって、丙が、「乙の死亡及び乙の相続人となった事実」を知っていても、「乙から甲の相続人としての地位を承継した事実」を知らなければ、甲から乙への相続(一次相続)にかかる、丙の熟慮期間は起算されません。

第九百十六条 相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

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