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相続

遺言書の保管申請の方法(自筆証書遺言書保管制度)

遺言書の保管申請に関する用語

はじめに遺言書の保管申請に関する用語を説明します。

遺言者

遺言者とは遺言を書いた人です。遺言書の保管申請は通常遺言者本人がします。

保管申請

保管申請とは遺言書保管所に遺言書の保管申請をすることです。また、この保管申請の対象となる遺言は自筆証書遺言です。

遺言書保管所

遺言書保管所とは法務大臣の指定する法務局です。

ところで、保管申請はどこの遺言書保管所にしてもよいわけではなく、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所にしなければなりません。この管轄はネットで「〇〇市 遺言書保管」と検索すれば出てきます。

なお、過去に保管申請をしたことがある者が、再度保管申請する場合には過去に保管申請した遺言書保管所のみが管轄となります。

保管申請書

保管申請書とは保管申請時に遺言書保管所に提出する書類です。保管申請をするには自筆証書遺言だけでなく、保管申請書も作成しなければなりません。

推定相続人

推定相続人とは遺言者が死亡した場合に相続人となる候補者です。例えば遺言作成時に遺言者に配偶者と子が存在する場合にはこの配偶者と子がいずれも推定相続人となります。

以上が遺言書の保管申請に関する用語です。

遺言書の保管申請の流れ

次に遺言書の保管申請の流れを説明します。

step
1
遺言作成

自筆証書遺言を作成します。なお、遺言書保管所は自筆証書遺言の作成に関与しません。

step
2
必要書類準備

保管申請書、住民票、顔写真付きの本人確認書類及び手数料を準備します。必要書類については後で説明します。

step
3
保管申請

遺言書保管所に予約の上、出頭して保管申請をします。

step
4
完了

手続完了後、遺言書保管所で保管証を受け取ります。

以上が遺言書の保管申請の流れです。

遺言書の保管申請の必要書類

次に遺言書の保管申請の必要書類を説明します。

自筆証書遺言

保管申請の前に自筆証書遺言を作成します。自筆証書遺言の作成日と保管申請書の提出日は同じでなくてよいです。

遺言書の保管申請書

遺言書の保管申請書はネットで「遺言書の保管申請書」で検索すると法務省のWEBサイトでダウンロードできます。

住民票の写し

遺言者の住民票を提出します。この住民票は遺言者の本籍・筆頭者の記載入りで、かつ、マイナンバー・住民票コードの記載は無しです。

顔写真付きの本人確認書類

遺言者の運転免許証やマイナンバーカードを遺言書保管所の窓口で提示します。

手数料

3,900円分の収入印紙を購入します。

以上が遺言書の保管申請の必要書類です。

遺言書の保管申請書の書き方

次に遺言書の保管申請書の書き方を説明します。

申請年月日

申請年月日には申請書を遺言書保管所に提出する日を記入します。(例えば、遺言書を提出する日が令和5年7月16日の場合には「令和05年07月16日」ではなく、「令和 5年 7月16日」と記入します。)

この日付は遺言書の作成日と一緒でなくてもよいです。

遺言書保管所の名称

遺言書保管所の名称には保管申請先の遺言書保管所の名称を記入します。

遺言書の作成年月日

遺言書の作成年月日には自筆証書遺言の作成年月日を記入します。この作成年月日は自筆証書遺言に書かれている日付です。

遺言者欄

遺言者欄には遺言者の氏名、フリガナ、出生年月日、住所、本籍及び筆頭者の氏名を住民票の通りに正確に記入します。(濁点は同じマスに記入します。)

また、遺言者と筆頭者が同じ場合には「▢遺言者と同じ」にチェックをするだけでよいです。

遺言者の国籍(国又は地域)

遺言者の国籍欄は遺言者が日本人の場合には記入不要です。遺言者が外国人の場合には国名コードと名称を記入します。

遺言者の電話番号

遺言者の電話番号欄には遺言者の連絡のつきやすい電話番号を記入します。

不動産の所在地欄

不動産の所在地欄は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所に保管申請をする場合に使用する欄です。

この場合には「▢遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所に保管の申請をする。」にチェックを入れ、その不動産の所在地を記入します。

遺言者の住所地又は本籍地を管轄する遺言書保管所に保管申請する場合にはこの欄は空欄です。

民法第968条の自筆証書遺言に係る遺言書欄

保管申請をする遺言書が自筆証書遺言の要件を満たしていることを確認しましたら、「▢申請に係る遺言書は,私が作成した民法第968条の自筆証書による遺言書に相違ない。」にチェックを入れます。

自筆証書遺言の要件とは全文の自書、日付・氏名の記載及び押印があることなどです。

他の遺言書が保管されている場合の欄

この欄は過去に保管申請をしたことがある場合に使用します。

この場合には「▢現在,遺言書保管所に他の遺言書が保管されている。」にチェックを入れ、過去に保管申請した遺言書の保管番号等を記入します。

過去に保管申請をしたことがない場合には空欄です。

遺言者の記名欄

遺言者の記名欄に遺言者が記名します。押印は不要です。

備考欄

備考欄は基本的に空欄です。(記入欄が不足する場合などで使用します。)

遺言書の総ページ数の欄

遺言書の総ページ数の欄には保管申請する自筆証書遺言のページ数を記入します。自筆証書遺言に財産目録が添付されている場合には財産目録もページ数にカウントします。

受遺者等・遺言執行者等の欄

受遺者等・遺言執行者等の欄は自筆証書遺言に受遺者や遺言執行者が登場する場合に使用する欄です。

この場合には自筆証書遺言に登場する受遺者や遺言執行者の氏名、住所、出生年月日を記入します。

また、推定相続人・受遺者・遺言執行者以外に自筆証書遺言に登場する者がいる場合にはこの者についても記入します。ただし、必ずしも記入するとは限りません。この記入する場合と記入しない場合の判断は難しいです。

そこで、推定相続人・受遺者・遺言執行者以外に自筆証書遺言に登場する者がいる場合には一律この欄に記入して遺言書保管所の判断を仰ぐのも手です。

受遺者や遺言執行者などを記入しましたら、各々の情報の番号欄に通し番号を振ります。そして、「▢受遺者等」又は「▢遺言執行者等」のいずれかにチェックを入れます。

受遺者等・遺言執行者等欄の記載は保管申請書を記入する上で最も難解な箇所です。そのためこの欄の記入方法は専門家の関与が必要なるかもしれません。

なお、作成した自筆証書遺言の内容が推定相続人に対して「○○に相続させる。」旨の内容であれば、この欄には遺言執行者だけを記入すれば足ります。

死亡時通知の対象者欄

※「死亡時通知の対象者欄」は「指定する者に対する死亡後の通知等欄」に名称が変更されています。

そもそも死亡時通知とは遺言者の死亡後に特定の者になされる通知です。

死亡時通知を発送するのは遺言書保管所です。死亡時通知の送付先は遺言者が予め指定した者です。死亡時通知は遺言書保管所が遺言者の死亡を確認した際になされます。

死亡時通知の送付先は遺言者が任意に決めることができますが、その送付先は推定相続人、受遺者、遺言執行者などのうちの一名のみです。

※令和5年10月2日から、通知の対象者が3名まで可能となりました。また、通知の対象者をすでに1名指定している場合においても、変更の届出により対象者を追加することができます。

死亡時通知を希望する場合には「▢死亡時の通知を希望するため,本申請書記載の私の氏名,出生年月日,本籍及び筆頭者の氏名の情報を遺言書保管官が戸籍担当部局に提供すること,並びに私の死亡後,私の死亡の事実に関する情報を遺言書保管官が戸籍担当部 局から取得することに同意する。」にチェックを入れます。

また、通知先が受遺者や遺言執行者などの場合には「受遺者等・遺言執行者等欄」で記入した通し番号を記入します。

これに対し推定相続人への通知を希望する場合には推定相続人の氏名、住所及び推定相続人との続き柄を記入します。

なお、遺言書の存在を生前に推定相続人などに伝えておけば死亡時通知は必ずしも必要なものではありません。死亡時通知を希望しない場合にはこの欄は空欄です。

申請書のページ数

最後にここまで記入してきた保管申請書のページ数を数え、各ページの右端にページ数を記入します。(なお、ここで記入するページ数は自筆証書遺言のページ数ではありません。)

以上が遺言書の保管申請書の書き方です。

手数料納付用紙の書き方

最後に手数料納付用紙の記入方法を説明します。

遺言書保管所の名称

遺言書保管所の名称欄に遺言書保管所の名称を記入します。

申請人の表示

申請人の表示欄に遺言者の住所及び氏名を記入します。

法定代理人の表示

法定代理人の表示欄は法定代理人が保管申請する場合に使用します。遺言者本人が保管申請する場合は空欄です。

納付金額欄

納付金額欄に保管申請の手数料を記入します。現時点の手数料は3,900円です。

以上が手数料納付用紙の記入方法です。

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